高校までは、地元岩手、盛岡が好きではなかった。

一度離れて都会で暮らし、
大人になって戻ってみると、
とても魅力のある土地だとわかった。

三陸は、リアス式海岸で、美しい町。

盛岡からは、山をいくつも越えて、
３時間くらいかかる場所。

夏になると、海を見に家族で行った。

子供のころ、免許をとった父が
初めて遠出して家族で泊まりに行ったのも
大船渡。

今週末、次男とサッカーの交流試合で
行くことになっていたのも、大船渡。

映像でみればみるほど、
涙があふれ、

なんでもない、幸せな時間が
一瞬にして変わってしまったであろうことを
想像するだけで、悲しくて悲しくてしょうがない。

あの日、

私は、子供たちの通う小学校の前に
事務所を構えたことを
心からよかったと感じた。

現場や、打ち合わせで
遠出していることも多いからだ。

S字に揺れる校舎を道路を隔てた場所で、
フェンスにしがみつきながら

「やめてーー」

と何度も叫んだ。

この子達にもしもなことがあったらと、
怖くて怖くて。

事務所の棚からは、
ガラスの小物や、
カタログ、資料が崩れ、
ガラスで床は見るも無残に。

長い。長い。尋常ではない激しい揺れ。

怖かった。本当に怖かった。

小学校に迎えに行き、しがみつく二人を
一緒に抱きしめた。

心配だった長男も、
無事、下校したときには、
本当に安心して、
離れずにいよう！と決めた。

家族にご飯を用意し、
家族の健康を考える

食材に感謝し、
大事に使う。

母親であり、妻は
このシンプルなことを
大事にしなければいけない・・・とわかった。

当たり前のことを
自分は今まで、おざなりだったと感じた。

水にも
電気にも

感謝だ。

ろうそくや、
懐中電灯の光を体験すると、
電気の照明が、とても過剰に感じた。

水も、
断水前に
予感がしてためておいたから
まだ、よかった。

ためた水でどう暮らそうかと
必死で考えて、工夫した。

それでも、ふと、
なんども蛇口に手がくせで伸びた。

納品関係は、全くだめ。
東北への配達なんて、
目処がたたない。

いろいろなことを考えさせられる。

海沿いへ嫁いだ友人が、
どうか、無事でありますように・・・。

非難所でまだ、波に流されて乾かぬという、
着の身、着のままのお年寄りたちが、

カメラに向かって、

「元気でいます。皆さんに感謝しています。
　欲しいもの？
　きりがないので、
　ここの暮らしでは、十分です。」

と答えていて、胸が痛んだ。

我先にと、
スーパーで買い占めている映像と
まるで、間逆だ。

本当に、必要な人たちの手元に
届きますように・・・。

今も余震が・・・。

PS；
心配してくださった皆さん、
ありがとうございます。

仕事で支障をきたすお客様、
ご理解くださいませ。